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現代社会の特色を生成AIで調べると自分の考えに合う情報ばかり集まるのか|偏った情報集めの研究

居間で子どもの調べ物を見守る保護者の目に、画面を埋める説明と書きかけのノートが映ります。生成AIとのやり取りが進むほど、書く材料は増えていきます。公民の「現代社会の特色」を調べるときも、答えがそろうと見通しがついたように感じられます。この語は、情報化・グローバル化・少子高齢化など、今の社会をとらえる特徴を指します。教科書で挙げられる特徴を手掛かりに、社会の変化を考えるための言葉です。

この記事の要点

現代社会の特色を生成AIで調べると自分の考えに合う情報ばかり集まるのか|偏った情報集めの研究

居間で子どもの調べ物を見守る保護者の目に、画面を埋める説明と書きかけのノートが映ります。生成AIとのやり取りが進むほど、書く材料は増えていきます。公民の「現代社会の特色」を調べるときも、答えがそろうと見通しがついたように感じられます。この語は、情報化・グローバル化・少子高齢化など、今の社会をとらえる特徴を指します。教科書で挙げられる特徴を手掛かりに、社会の変化を考えるための言葉です。

ところが、集まった説明がどれも最初の考えを後押ししていると、広く調べたのか、同じ方向の材料を増やしたのかが気になるところです。生成AIで自分の考えに合う情報を集めやすくなる場合はありますが、偏りにはAIの応答と利用者の聞き方・選び方の両方が関わります。研究を読む際は、質問が偏ったこと、読む情報が偏ったこと、考えそのものが変わったことを分ける必要があります。居間で試す工夫も、答えの量を増やすことより、どの方向から問い、どの情報を読むかに置くと具体的になります。

要点

現代社会の特色を調べる前から、情報の選び方は偏りえます

現代社会の特色について意見を書くとき、先に自分なりの見方を持つことは自然です。その見方を出発点に調べることと、それを支える説明しか集めないことは区別できます。後者のように、自分の態度や信念に合う情報を選んで接する傾向を「選択的接触」と呼びます。偏りを考える入口は、AIの文章の中身だけでなく、読む側が何を選んだかにもあります。

Hart(2009)は、複数の研究の結果をまとめて分析するメタ分析で、自分を支える情報と、それに反する情報への好みを比べました。主に成人を扱う研究のまとめで、支える情報への中程度の好みがあり、効果量はd=0.36でした。効果量は差の大きさを共通の物差しで示す値で、偏った人の割合を表す数字ではありません。生成AIが普及する前から、人が情報を選ぶ段階に偏りが見られたという結果です。

同じHart(2009)の分析は、反対側の情報が目の前の目的を達成するのに役立つときには、むしろその情報を好む傾向も示しました。自分に都合のよい説明しか読めない、という固定した性質として人を描いてはいません。調べる目的を、考えを補強することに置くか、弱い箇所を探すことに置くかで、情報の必要性の見え方も変わります。学習への応用としては、主張を支える材料と、その主張が成り立つ条件を調べる作業を分けておく方法が考えられます。

たとえば、賛成の理由を集める欄だけをノートに作ると、そこに収まる説明が採用候補になります。条件や例外を書く欄も用意すると、最初の主張に合わない情報にも置き場所ができます。これは結論を反対に変えるためではなく、何を材料として残すかを自分で見えるようにする工夫です。読む前の準備が、読む内容を選ぶ場面とつながっています。

検索語から始まる偏りは、対話の中でも続きます

Ekström(2024)は、政治的な話題について、用意された検索語のどれを参加者が選ぶかと、その語による検索結果を調べました。話題の一部を除き、参加者は自分の政治的な立場に合う検索語を選びやすく、立場によって検索語の選び方のばらつきの12%〜39%が説明されました。この数字は、検索結果のうち誤っている割合でも、偏った回答を受け取った人の割合でもありません。通常の検索を対象に、入力する語の選択が結果の方向と結びつくことを示した研究です。

生成AIに言葉を長く書けるようになると、題名だけでなく、自分の見方や欲しい結論も質問に含められます。Sharma(2024)は、生成AIによる対話型の検索と従来の検索を実験で比べ、対話型の検索を使う参加者のほうが偏った問い方をしたと報告しました。さらに、利用者の見方を後押しする意見を持たせたAIでは、その偏りが強まりました。研究の抄録には参加者の人数・国・年齢や効果の大きさが記されていないため、ここでは問い方の違いという結果に焦点を当てます。

Thiele(2026)は、成人がChatGPTと政治について会話する際の、最初の質問、返答への反応、論拠の選択を調べました。一部の参加者は問いの段階から偏り、自分の見方と反する返答を最も信用せず、その後も自分に合う情報を探す傾向がありました。答えの候補から使う論拠を選ぶ段階でも、自分の見方に合うものが多く選ばれました。反対の情報が画面に出ることと、それを判断材料に採ることの間にも、選択の余地があります。

これらを学習の使い方に引きつけるなら、質問文に含めた前提と、返ってきた説明から残した部分を別々に見るのが役立ちます。最初から利点を尋ねたなら、利点が多い回答は質問に沿った結果でもあります。そこで利点の数を、その見方を支持する証拠の強さと読み替えると、調べた範囲を大きく見積もってしまいます。長いやり取りの記録にも、どの問いから出た答えかを残しておく意味があります。

道具が自動で情報を囲い込む、という説明には反証もあります

ネット上の偏りは、「フィルターバブル」という言葉でも語られます。これは、利用者に合わせた情報の選別によって、自分に近い情報の中に閉じ込められるという見方です。ただし、道具が利用者ごとに表示を変えることと、利用者が自分で読む情報を選ぶことは、別の仕組みです。通常の検索や動画の推薦を調べた研究には、道具による囲い込みという説明を弱める結果もあります。

Robertson(2018)が調べた対象は、米国の参加者187人の通常の検索結果です。参加者のパソコンからGoogleの検索結果を集めて調べましたが、個人化によるフィルターバブルの仮説を支える証拠はほとんど見つかりませんでした。Nechushtai(2024)が調べた対象は、米国の参加者1,598人のニュース検索結果です。複数のサービスをまたいだ分析では、少なくとも上位の結果は利用者ごとに異なるより、似通う傾向が強いと報告しました。

Liu(2025)が調べた対象は、約9,000人が使う動画サイトの推薦です。YouTubeに似せたサイトで推薦を強く偏らせても、短期の政策への態度に及ぼす因果的な効果は限られていました。因果的な効果は、単に利用と態度が一緒に見られるという関係より踏み込み、推薦を操作したことで態度が動いたかを見たものです。何を提示されるかと、考えがどれほど変わるかを分けて読むため、比較したものを表に示します。

研究 調べた比較 研究で示された結果 対象
Robertson(2018) 利用者ごとの検索結果と個人化による囲い込みの仮説 仮説を支える証拠はほとんど見られませんでした。 米国の参加者187人の通常の検索結果
Nechushtai(2024) 属性や立場の異なる利用者に示される上位の結果 利用者ごとの囲い込みより、結果の均質化が強く見られました。 米国の参加者1,598人のニュース検索結果
Liu(2025) 推薦の偏らせ方と政策への態度の変化 短期の態度への因果的な効果は限られていました。 約9,000人が使う動画サイトの推薦

偏った材料がそろうことと、考えが変わることを分けます

検索の問い方、表示された情報、読んだ情報、最終的な意見は、調べ物の別々の段階です。先に見たSharma(2024)の結果は、特に問い方の段階に目を向けています。一方、先に見たLiu(2025)の結果は、短期の態度の変化を扱います。両者を一緒にして、偏った質問をすると意見がすぐに大きく変わる、と読むと測定した内容から離れてしまいます。

学習で気をつけたいのは、意見の変化だけではありません。たとえば、最初から長所を前提に尋ね、返答から採りやすい理由だけを残すと、短所や成り立つ条件が抜けた説明になる可能性があります。意見が最初と同じでも、検討した材料の幅が狭いままなら、十分に調べたつもりになることがあります。AIへの同じ方向の追加質問が続くときは、調べる対象が広がったのか、同じ主張の説明が詳しくなったのかを区別したいところです。

生成AIを使わないほうがよいのは、反対材料を探すつもりがなく、最初に決めた結論を支持する文章だけを増やしたい場面です。その段階で文章を大量に作ると、選ぶ作業よりも整った説明を集める作業が先に進みます。いったん画面から手を離し、自分がまだ答えられない点をノートに書くほうが、次の調べ物の目的をはっきりさせられます。結論が未定でも、何を知れば判断できるかは書き出せます。

また、反対側の文章をAIに出させただけで、実際の異なる立場を読んだことにしないようにします。生成された文章は、調べたい論点を見つけるための候補として扱えます。そこに書かれた反論を弱く感じた場合も、反対側の考えがすべて弱いという採点は保留できます。自分の結論を支える材料にも反対する材料にも、採用した理由を付けると、好みによる選別を点検しやすくなります。

同じ題を両方の立場から聞き、逆の資料を開きます

居間で調べ物を始めるときは、まずノートに題と今の考えを分けて書きます。題の欄には現代社会の特色のうち調べる範囲を置き、考えの欄には自分が予想していることを置きます。こうすると、質問したい事実と、後から検討する意見が混ざりにくくなります。次に、何を知りたい質問だったのかが残るよう、AIへ送る文を短く書きます。

利点を主に調べていた場合の聞き直しは、「同じ題を、利点を重視する立場と問題点を重視する立場から説明してください」のようにできます。答えを読んだ後は、「それぞれの主張が成り立つ条件を挙げてください」と範囲を絞れます。これらは、検討する方向を自分で増やすための指示の例です。答えの正しさを保証する文として使うのではなく、次に調べる項目を取り出すために使います。

その後、自分の考えと逆の立場を述べた資料を一つ開き、何を根拠にしているかを読みます。AIの説明と資料の該当箇所を照らし、主張の対象や成り立つ条件が変わっていないかを確かめます。読んだ内容は、賛成か反対かの印だけでなく、自分が考えていなかった条件としてノートに残します。反対資料を読む目的は、気持ちよく反論する材料を探すことより、自分の調べ方で抜けていた点を見つけることです。

賛否を並べた後も、両方の主張を同じ重さで結論に入れる必要はありません。根拠がある事実、将来の予想、何を重視するかという価値判断を分け、どこに食い違いがあるかを書き添えます。資料の中の数値と、筆者がそこから述べた意見も区別すると、賛否だけの整理より違いが見えます。最終的なノートには、採った理由に加えて、判断を保留した点を残せます。

検索を伴う機能の有無や、参照先の表示の仕方は、使うサービスの最新の説明で確認します。機能名を覚えることより、いま見ているものがAIの説明なのか、別の資料の本文なのかを区別するほうが、この作業には直接役立ちます。聞き直した回数を増やすこと自体を目標にせず、新しく調べるべき条件が見つかったところで資料を読む作業へ移ります。問い直しと読む作業にそれぞれ役割を持たせる使い方です。

保護者は、反対側の情報も開かれているかを見ます

保護者が見るところは、調べ物の画面に、子どもの考えと反対の立場の情報が一つでも開かれているかです。答えの文章が長いことや、検索の履歴が多いことだけでは、読んだ情報の方向は見えてきません。子どもが画面を見せたときに、同じ主張を支えるページだけなのか、異なる立場のページもあるのかを見る方法なら、教科の説明を採点する必要はありません。確認する点をこの一つに絞ると、親の意見との一致を求める話にもなりにくくなります。

反対側の情報が開かれていても、その意見に賛成するよう求める必要はありません。読むことと賛成することを結びつけると、異なる意見を開く行動そのものが重くなります。保護者自身が好まない立場のページであっても、開かれていることを調べ方の一部として扱えます。親子のどちらが正しいかを決める場にせず、今の考えとは違う材料にも目を向けているかを見る場にできます。

反対側のページがまだなければ、そのことを調べ物の途中の状態として受け止めます。AIの使用全体を否定したり、すぐに完成した結論を求めたりするより、別の立場の情報を開く余地が残っていると捉えるほうが、この確認の目的に合います。見せてもらうのは、調べている題に関係する画面で足ります。会話の全履歴を読んで、子どもの考えの変化を追いかける作業には広げません。

居間で画面を一緒に見る場面では、親子の意見がそろっていなくても、調べ物は続けられます。自分の見方を支えるページの隣に、別の立場から書かれたページが開いていれば、保護者の視線を置く先は具体的です。結論の一致を急ぐよりも、異なる情報が並ぶ画面を子どもと一緒に眺めるひとときです。

よくある質問

両論をAIに出してもらえば、公平に調べたことになりますか

両論を生成させることは、調べる項目を増やす入口になりますが、それだけで公平さを判定する基準にはなりません。賛否の文章の長さが同じでも、扱っている対象や根拠の種類が違う場合があります。先に示した手順のように、何が事実で、何が予想で、何を重視する意見なのかを書き分けると、見かけの対称さより中身の違いを扱えます。論点が対応していない箇所は、結論に急いで組み込まず、未整理の項目として残せます。

意見が変わらなかったら、調べ直す意味はなかったのですか

意見が変わらなくても、どんな条件でその意見が成り立つかを説明できるようになれば、ノートに残す内容は変わります。最初と最後の賛否だけで調べ物を評価すると、新しく見つけた条件が見えなくなります。振り返る際は、当初の主張に加わった条件と、判断を保留した点を比べる方法があります。最後の意見を書き直す必要がない場合にも、理由の欄に、どこまで考えた結論なのかを添えられます。

反対の材料ばかり探すと、逆向きに偏りませんか

反対の材料だけを採用するなら、選ぶ方向が逆になるだけです。先に見たHart(2009)の分析を踏まえると、反対側を読む目的を、主張の弱い箇所や成立条件を探すこととして持つのが有用です。自分に合うかどうかと、今の問いを考えるために役立つかどうかを分けて読みます。ノートには、採用する材料だけでなく、関係する範囲が違うために採らなかった材料とその理由も残せます。

この記事の限界

適用範囲の中心は、成人の情報選択や、政治・時事の検索と推薦を扱った研究であり、Ekström・Thiele・Robertson・Nechushtai・Liuの課題は教科学習の課題ではありません。Liuの実験は短期の態度変化を測り、Thieleが扱ったChatGPTとの会話やSharmaの対話型検索の結果が、現在のモデルでも同じ程度に現れるかは確かめられていません。

また、ここで引いた研究には、日本語の生成AI検索で公民の材料を集め、その後の理解や答案まで追った調査は含まれていません。日本の中高生が生成AIで社会科の調べ物をする場面は、この記事で引いた研究の範囲の外にあります。

参考文献

  1. Sharma N ほか. Generative Echo Chamber? Effect of LLM-Powered Search Systems on Diverse Information Seeking. Proc CHI 2024:1-17.
  2. Hart W ほか. Feeling validated versus being correct: a meta-analysis of selective exposure to information. Psychol Bull. 2009;135(4):555-588.
  3. Thiele J ほか. In search of vivid deliberation or reinforcing echo? A three-study project on the psychological basis of individuals’ selective exposure and selective avoidance tendencies in political conversations with ChatGPT. Comput Hum Behav Rep. 2026;22:101137.
  4. Ekström AG ほか. The search query filter bubble: effect of user ideology on political leaning of search results through query selection. Inf Commun Soc. 2024;27(5):878-894.
  5. Robertson RE ほか. Auditing Partisan Audience Bias within Google Search. Proc ACM Hum-Comput Interact. 2018;2(CSCW):1-22.
  6. Liu N ほか. Short-term exposure to filter-bubble recommendation systems has limited polarization effects: Naturalistic experiments on YouTube. Proc Natl Acad Sci U S A. 2025;122(8):e2318127122.
  7. Nechushtai E ほか. More of the Same? Homogenization in News Recommendations When Users Search on Google, YouTube, Facebook, and Twitter. Mass Commun Soc. 2024;27(6):1309-1335.

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よくある質問

両論をAIに出してもらえば、公平に調べたことになりますか

両論を生成させることは、調べる項目を増やす入口になりますが、それだけで公平さを判定する基準にはなりません。賛否の文章の長さが同じでも、扱っている対象や根拠の種類が違う場合があります。先に示した手順のように、何が事実で、何が予想で、何を重視する意見なのかを書き分けると、見かけの対称さより中身の違いを扱えます。論点が対応していない箇所は、結論に急いで組み込まず、未整理の項目として残せます。

意見が変わらなかったら、調べ直す意味はなかったのですか

意見が変わらなくても、どんな条件でその意見が成り立つかを説明できるようになれば、ノートに残す内容は変わります。最初と最後の賛否だけで調べ物を評価すると、新しく見つけた条件が見えなくなります。振り返る際は、当初の主張に加わった条件と、判断を保留した点を比べる方法があります。最後の意見を書き直す必要がない場合にも、理由の欄に、どこまで考えた結論なのかを添えられます。

反対の材料ばかり探すと、逆向きに偏りませんか

反対の材料だけを採用するなら、選ぶ方向が逆になるだけです。先に見たHart(2009)の分析を踏まえると、反対側を読む目的を、主張の弱い箇所や成立条件を探すこととして持つのが有用です。自分に合うかどうかと、今の問いを考えるために役立つかどうかを分けて読みます。ノートには、採用する材料だけでなく、関係する範囲が違うために採らなかった材料とその理由も残せます。