生成AIの使いどころ
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学習・受験でどう使うか

生成AIは、答えの受け取り方によって勉強の助けにも、考える工程を省く道具にもなります。研究と学校・入試の公式資料を読み、AIを閉じた後に自分でできることを確かめる使い方を考えます。

この記事の要点

宿題が終わることと、学力がつくことは別です

学習や受験での使い方は、業務での使い方と条件が違います。理由は、目的が「成果物を作ること」ではなく「自分の中に残すこと」だからです。

この記事は、学習塾を運営している立場から書いています。その前提でお読みください。塾側の観点も含めて、武蔵野個別指導塾のサイトにも関連記事があります。

AIが解いた答案を提出できても、自分が解けるようになったとは限りません。一方、分からない点の説明や、考えを見直すための質問が役立つこともあります。見たいのは、AIを使った回数より、使い終わった後に何を自分でできるかです。この記事では、研究で分かったことと、家庭で試す手順を分けて考えます。

使い方仕事での主な目的学習で確かめたいこと
下書きを作らせる作成時間を減らす本人が構成や根拠を考える課題では、その工程を省いていないか
答えを出させる結果を得て検証する答えを見ずに同じ考え方を使えるか
要約させて読む情報の見通しを得る原文を読み、要点を選ぶ練習もできているか
反論を出させる案の弱点を探す反論の妥当性を自分で判断し、答えられるか
説明を求める理解や判断を助ける画面を閉じて自分の言葉で説明できるか

仕事にも学び直しや正確さの確認は必要ですから、この表は仕事なら任せ放題という意味ではありません。学習では、完成した文章の質と、本人が身につけた力を別々に見る必要があります。生成AI全般の特徴は生成AIの使いどころの総論で扱い、ここでは勉強に残す工程に絞ります。

AIを使うと成績は上がるのか、下がるのか

トルコの高校の数学で、約1,000人を対象にした実験があります。学級を、AIなし、通常のチャットに近いAI、学習用に設計したAIの群に分けました。練習中の得点は、AIなしの群に対して通常型で48%、学習用で127%高くなりました。しかし、後のAIなしの試験では、通常のチャット型AIを使った群の得点が17%低くなりました。使われたAIは2023年秋時点のGPT-4で、著者も、その後のモデルは性能が大きく上がったと述べています。そのため、今の製品にそのまま当てはまるとは限りません(Bastani et al., 2025, Proceedings of the National Academy of Sciences)。

ここでの17%は比較相手の平均に対する割合で、試験の得点が17点下がったという意味ではありません。学習用AIは、答えをそのまま渡さず手がかりを出す指示と、教師が用意した正答や典型的な間違いを組み込んでいました。その群のAIなし試験は、AIなしで練習した群と明確な差がありませんでした。低下を抑えたことと、自力の成績を上げたことは区別する必要があります。

この研究は、2023–2024学年度の秋に、単一の高校で行われた短期の実験です。著者も、AIの設計に注意が必要で、他の科目や長期の学習を調べる必要があると述べています。「AIで勉強すると全員の成績が下がる」とは読めません。家庭では、AIを開いたまま解けた問題を、閉じた後にも確かめる理由として受け止めてください。

向きの異なる結果として、2023年秋、米国ハーバード大学の物理の授業で、GPT-4を使った個別学習の実験があります。研究対象の大学生194人が、2つの授業でAIによる個別学習と、教室で問題を考え話し合う授業を入れ替えて経験しました。授業直後のテストでの伸び(中央値)は、AIの条件で教室の授業の2倍を超えました。著者は、短い時間でより多く学べたと評価しています。長期の定着や、あらゆる内容での優越を示した結果ではありません(Kestin et al., 2025, Scientific Reports)。

高校数学と大学物理の違いを、「AIの性能がよかったから」だけで説明することはできません。年齢、科目、比べた授業、測った力が違い、物理では課題を順番に進める仕組みも用意していました。答えを渡すか、学習者に考えさせる手がかりを出すかは重要な設計上の違いですが、それだけの因果効果を切り分けた比較ではありません。家庭で「ヒントだけ」と入力することと、研究用の教材設計が同じともいえません。

研究を読むときの問い家庭での確認に置き換えると
何を成績と呼んでいるかAIと完成させた宿題か、後で自力で解いた問題か
どんな支援を使ったか完成答案を受け取ったか、途中の考えを直す手がかりを得たか
何と比べたか教科書、先生の説明、自分だけの練習など、比較相手は何か
いつ確認したか説明を読んだ直後だけか、時間を置いてもできたか

研究の大きな数字を、そのまま自分の定期試験の伸びに換算しないことも大切です。違う教材や学年で同じ結果になる保証はありません。使う目的を「この式変形を説明できるようにする」などに絞ると、役立ったかを本人と保護者で確かめやすくなります。

読めば分かるのに、自分では解けないのはなぜか

説明を読んで納得することと、何も見ずに思い出すことは違います。米国の大学生120人を対象にした文章記憶の実験では、読み直す条件と、読んだ内容を思い出して書く条件を比べました。5分後は読み直しが有利でしたが、2日後や1週間後は思い出す練習をした条件が良好でした。これはAIの実験ではありませんが、読みやすい解説だけで勉強を終えない根拠になります(Roediger & Karpicke, 2006, Psychological Science)。

このように、自分の記憶から取り出す練習を「検索練習」と呼びます。ここでいう検索は、インターネットで答えを探すことではありません。AIの説明を閉じ、白紙に要点や途中式を再現することなら、家庭でも取り入れられます。思い出せなかった部分は教科書や解答で確認し、理解できないまま同じ説明を暗唱することは避けます。

自分で答えを作り出すことにも、別の研究があります。与えられた語を読む場合と、手がかりから語を作る場合を比べた5つの実験では、自分で作る条件に記憶上の利点が見られました。ただし単語の記憶の実験であり、難問を支援なしで解かせればよいという証拠ではありません(Slamecka & Graf, 1978, Journal of Experimental Psychology: Human Learning and Memory)。

学びに役立つ適度な難しさを、「望ましい困難」と呼ぶ考え方があります。SoderstromとBjorkのレビューは、練習中の出来と、後に残る学習の違いを整理しています。ただし、難しい練習がいつもよいという意味ではありません。何も手がかりがなく止まったときには、例題や先生の説明に戻って構いません(Soderstrom & Bjork, 2015, Perspectives on Psychological Science)。

AIを使った作文でも、成果物と学びの差が報告されています。大学生117人の実験では、ChatGPT、人の専門家、文章分析ツールなどの支援を比較しました。ChatGPT群は作文得点の改善で優れた一方、知識の獲得や別の課題への応用、課題後の内側からの意欲には明確な群間差がありませんでした。「文章がよくなったから理解も深まった」と決めず、自分で説明する場面を残す必要があります(Fan et al., 2025, British Journal of Educational Technology)。

自分が何を理解し、何を理解していないかを見直す働きを「メタ認知」といいます。作文の研究の著者は、AIに任せることでその働きが弱まる可能性に注意を促しています。これは、利用した学生の能力が長期に低下したと証明したものではありません。家庭での振り返りなら、「直したところはどこか」「その修正に賛成した理由は何か」を本人に確かめる形が考えられます。

学習に使うなら、自分の答案や疑問を先に出す

既存の教材を使って自分で試し、止まった場所を説明できる状態にしてからAIに聞く方法を提案します。次の用途は、学校の指示とサービスの利用条件を満たす場合の候補です。それぞれの質問文そのものについて、成績向上が実験で確認されたわけではありません。AIの返答は、教科書や授業で扱った方法と照らし合わせて使います。

  1. 分からない箇所の説明を、別の言い方で求める——参考書のどこで分からなくなったかを示します。説明を読んだ後に自分で解き直します。
  2. 自分の答案を評価させる——「この答案の弱点は」と尋ねます。添削者が常時いないときの検討材料にし、採点の正しさは別に確認します。
  3. 最も強い反論を出させる——小論文の再反論を考える練習に使います。反論の前提や事実が正しいかも確かめます。
  4. 覚えたことを説明して、間違いを指摘してもらう——先に自分で説明します。AIが褒めたことだけを定着の判定には使いません。
  5. 類題を作らせる——演習量を増やす候補にします。条件不足や解答の誤りがないか、教材と照合できる範囲で使います。

数学では、途中式のどこが分からないかを示す

例えば、「ここまでは解いた。次に使える性質だけ教えて。答え全体はまだ出さないで」と聞きます。返答がいきなり完成答案になったら、そのまま写す前に自分でできる部分を探します。学年でまだ習っていない方法が出た場合は、「授業で習った範囲の方法で説明して」と条件を補います。説明を確かめるときは、計算の結果だけでなく、その式に変えられる理由も言葉にします。

図形の問題なら、AIが図の条件を正しく読み取ったかも確認が必要です。平行、直角、等しい長さなど、問題文に書かれている条件と推測を分けます。自分にも保護者にも正誤が判断できない場合は、その解説を新しい知識として覚えず、先生や正規の解答に戻してください。

英語と国語では、元の文と自分の読みを残す

英文なら、自分で主語・動詞や修飾関係を取ってから、「この読み方の違うところを説明して」と聞けます。訳文だけを受け取ると、文の構造を確かめる工程が抜けます。自作の英文を直してもらう場合も、直された箇所の理由を確かめ、画面を閉じて同じ意味をもう一度書く方法が考えられます。

国語なら、先に自分で選択肢を選び、根拠だと思う一文を決めます。そのうえで、「私の根拠では足りない点を指摘して」と尋ねます。AIが挙げた一文が本文に本当にあるか、前後の意味と合っているかを自分で読みます。要約の作り方そのものは文章を作るときの使い方で扱っています。

暗記では、問題を出してもらい、答えは自分で取り出す

教科書の範囲から確認したい用語を選び、「答えを伏せた質問を出し、私が答えてから確かめて」と依頼する使い方があります。地名、人名、年代などは、AIが正解だと言っただけでは確定しません。手元の教材で正しい組合せを確認してから練習に使います。生成した問題の質を確認する手間が大きいなら、既存の問題集を使う方が取り組みやすい場合もあります。

最後は、AIを閉じて確かめる

その日の確認は、チャット履歴を眺め直すだけにしないことを提案します。途中式の理由を書く、似た問題を解く、学んだことを家族に説明するなど、目的に合う方法を選びます。できなかった箇所が見つかれば、それが次に先生へ聞く内容になります。分からないところを具体的にできたなら、完成答案が増えなくても学習を進める材料は得られています。

丸写しと、正誤を確かめられない使い方は避ける

「何分考えてから聞けば学力がつく」と、一律の時間を決める根拠はありません。手を動かして試し、分かるところと止まったところを分けることを目安にします。問題の言葉すら分からない、同じ説明を何度読んでも進まない場合は、待ち続けるより前提となる内容へ戻る方がよいでしょう。困っている本人を、AIを使ったかどうかだけで評価しないことも必要です。

特に向かないのは、初めて習う内容で、AIの誤りを照合できる教材も人もいない場面です。違う答えが出るたびに聞き直しても、最後の回答が正しいと決まるわけではありません。疑問が残ったら、問題文、自分の試み、食い違った説明をまとめて先生へ持っていく形に切り替えます。事実確認の基本は調べ物での使い方も参照してください。

答案の写真を送る際には、氏名、学校名、出席番号、顔写真などが写っていないかを確かめます。成績表や、友達とのやり取り、家庭の事情をそのまま入力する使い方も避けます。文部科学省のガイドラインも、氏名や写真などの個人情報を入力させないよう注意を求めています(文部科学省, 2024)。情報の扱い全般は利用上のルールで確認できます。

保護者が使う場合にも、子どもに代わって提出文を完成させることには注意が必要です。AIの整った表現に置き換えるほど、本人が何を考えたかが見えにくくなることがあります。「この文はどういう意味で書いたのか」と本人の意図を聞き、その言葉を残す方針が考えられます。学びの確認を、文章を大人らしく整えることに置き換えないようにします。

「考える力が落ちる」とまで分かっているのか

知識を扱う仕事に就く成人319人から、AI利用の936場面を集めた調査があります。AIへの信頼が高いほど、批判的に考えることの実施や努力が少ないという関連が報告されました。反対に、自分の能力への信頼は、より考えることと関連していました。ただし本人の自己申告を調べたもので、子どもの能力低下や、AIが低下を引き起こした因果関係を測った研究ではありません(Lee et al., 2025, Proceedings of the 2025 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems)。

ここでいう批判的に考えるとは、ただ否定することではありません。根拠は十分か、前提は合っているか、別の説明はないかと検討することです。同じ調査では、考える作業が情報の検証や回答の組合せへ移る様子も報告されています。「AIを使う時間が長いほど頭が悪くなる」と単純化せず、何を本人が判断しているかを見ます。

例えばAIに反論を出してもらった後、「この反論のうち、事実として確かめるべき部分はどこか」を自分で選びます。もっともらしい表現を、内容の正しさと取り違えないための練習です。自分が採用しなかった提案について理由を言えるかも、振り返りの材料になります。これらは研究から考えた運用案で、特定の質問文の効果を保証するものではありません。

志望理由書と小論文は、出願先の規定を先に読む

入試の提出書類では、勉強に役立つかどうかより先に、使用が認められているかを確認します。東京農工大学は、内容の責任を出願者本人が負い、自分の考えや経験を反映することを求めたうえで、AI利用の有無を問わない方針を公表しています(東京農工大学, 2024)。日本大学は、特段の指示がない限り、入学者選抜での生成AI使用を認めない方針です(日本大学, 2026)。他大学の例を、自分の出願先でも許される根拠にしてはいけません。

次の表は、出願先がその範囲の利用を認めている場合に限った整理です。大学全体の方針だけでなく、学部、選抜区分、対象年度の募集要項を読みます。「文章を少し整えるだけならよい」と自己判断せず、規定で判断できない場合は学校の進路担当などに確認します。許されるか不明なまま提出するより、元の文章と作成過程を残して相談できる状態にします。

使い方注意点と、自分で残す仕事
丸ごと書かせる勧められません。経験や考えを本人が選んで書く工程を失い、規定に反する場合もあります
調べ物の入口に使う学部・授業・研究内容は大学の公式資料で確認し、出典を自分で読みます
問いを検討する相手にする自分の問いを先に作り、「どの前提が弱いか」という指摘を自分で判断します
構造を確認させる自分で構成した後に、経験と志望先の学びがつながっているかを確かめます
文章を整える自分が説明できる言葉を選び、経験・実績・意図が変更されていないかを確認します

志望理由では、経験の見栄えより、その経験から何を考えたかが本人の説明につながります。AIが付け足した活動、読んでいない本、知らない専門用語は、文章が自然でも自分の経験にはなりません。下書きの段階で「経験した事実」「自分の解釈」「これから学びたいこと」を分ける方法を提案します。面接や口頭試問で理由を尋ねられたときにも、文章の言い換えだけでなく中身を説明する準備になります。

面接の制度にも、適用条件があります。文部科学省が2026年5月27日に通知した2027年度の実施要項は、総合型選抜で面接による評価を求めています。ただし、総合型・学校推薦型のどちらも、2026年度(令和8年度)の入学者選抜で既に実施していた区分で、すぐの導入が難しいものは、遅くとも2029年度(令和11年度)の入学者選抜までに面接を導入すればよいとされています。ここでの面接には、口頭試問、集団討論、プレゼンテーションやオンライン実施も含まれます(文部科学省, 2026)。

学校推薦型選抜にも面接評価を求めていますが、例外があります。高校との緊密な連携で丁寧なマッチングを行う非公募型で、合格時の入学を本人が確約するものは、大学が面接の要否を判断できます。「全大学が同じ年度から同じ形式の面接をする」と覚えるのは不正確です。本人が受ける区分の募集要項を、出願準備の基準にしてください。

AI検出ツールだけで、不正を決められるわけではない

英語が母語でない人のTOEFL作文91本と、米国の中学2年相当の生徒の作文88本などを使い、AI検出ツール7種類を調べた短い論考があります。研究論文ではなく、Patterns誌に載った論考(Opinion)です。米国の生徒の作文は正しく判定された一方、人間が書いたTOEFL作文をAI製と誤判定した割合は、検出器平均で61.3%でした。これは当時の英文と特定の検出器の結果で、日本語の志望理由書や現在の全製品の精度ではありません。著者は、評価や教育の場で検出器を使うことに強い注意を促しています(Liang et al., 2023, Patterns)。疑いが出たときは、点数だけでなく作成過程を確かめることを提案します。

誤判定があることは、規定に反する利用をしてよい理由にはなりません。また、検出器を通ったことも、自分で書いた証明にはなりません。読んだ資料、途中のメモ、自分の下書きと修正理由を残しておくと、文章を作った経緯を説明できます。疑われたときは、言い逃れの文章を作るより、記録を基に先生と確認する方法が考えられます。

AIが解けても、その科目の勉強が不要になるわけではない

AIから解説が出てくることと、解説が正しいことは別です。さらに、正しい説明を読めることと、自分で必要な方法を選べることも違います。AIが問題に答えたというだけで、その問題に唯一の機械的な手順があるともいえません。表示された説明を学習材料として使うなら、問題文や正規の解答と照らして検討します。

例えば選択問題では、先に自分の答えを出し、「なぜその選択肢なのか、本文の根拠を示して」と聞けます。返答の根拠が本文と一致するか、他の選択肢が違う理由も説明できるかを確かめます。引用らしく見える文が本文に存在しなければ、その説明を採用しません。「AIの答えと一致した」で終えず、根拠を自分で指させるところまで進めます。

保護者が全教科の解答を説明できる必要はありません。自分で判断できないところを見分け、教科書や先生に戻す役割もあります。子どもが「AIはこう言った」と話したときには、「どの条件を使った説明か」「教科書ではどこにあるか」と聞けます。どちらにも答えられなければ、いったん未確認として扱います。

学校の方針と、サービスの年齢条件を分けて確認する

2026年10月に確認した時点で、文部科学省が現行版として案内しているのは、2024年12月26日公表のガイドラインVer.2.0です。学校関係者向けの資料で、サービスの最新規約、年齢制限、保護者同意の条件を確認するよう求めています。小学生本人による直接利用は、発達段階などを踏まえて、より慎重に判断するとしています(文部科学省, 2024)。学年だけで利用可否を決めず、学校とサービスの両方を確認してください。

ガイドラインは、不適切な使い方の例も挙げています。性質やリスクを十分学ばないまま自由に使わせることや、生成物をほぼそのまま自分の作品として提出することなどです。本人の最初の感想や独創性を求める活動や、定期考査・小テストで使わせることも、不適切な例に挙げています。「学校で紹介されたAIだから、すべての宿題に使える」という意味ではありません。

サービス側の条件の例として、Claudeの個人向け規約では18歳以上が必要です。居住地で利用への同意に必要な最低年齢がそれより高い場合は、その年齢が適用されます。2026年10月に確認した規約は2025年10月8日発効のもので、規約には、保護者の同意で18歳未満が使えるという定めはありません(Anthropic, 2025)。別の契約や学校提供の環境は適用条件を別に確認し、他サービスにも同じ年齢を当てはめないでください。

利用可能な年齢を満たすことと、勉強に必要な判断ができることも別です。画面の言葉を疑うのが難しい段階では、大人が返答を一緒に読む必要があります。学校が認める環境があるなら、その設定と使い方の指示に従います。アカウントを作る際に、年齢をごまかして登録する方法は採りません。

家庭では「先にすること」と「使った後の確認」を決める

家庭のルールは、何を禁じるかだけでなく、どの工程を本人が担当するかまで決めると具体的になります。以下は、学校の指示と利用条件を満たすことを前提にした運用案です。学年別の効果がこの表のとおりに実証されているわけではありません。本人が説明を確かめられるか、困ったときに相談できるかに合わせて調整します。

  1. 先に自分でやる——取り組む時間の目安を決める(決まった分数に効果があるわけではありません)。ただし、理解できずに止まり続ける場合は、前提の説明に戻ります。
  2. 答えではなく説明を求める——「答えは」ではなく「なぜそうなるか」。自分で考える部分を残します。
  3. 制度・数値は一次資料で確認する——入試制度は年度で変わるため、その年の公式資料を読みます。
  4. 提出物は自分の言葉で——説明できないものは出さず、課題のAI利用規定も守ります。
  5. 使った記録を残す——同じことを何度も聞く箇所は、定着や説明の分かりやすさを見直す手がかりにします。
学年の目安条件を満たせば試せる使い方先に自分でやること使った後に確かめること
小学生大人や先生が操作する説明を一緒に見て、教科書と比べる。本人の直接利用は慎重に判断する音読する、図を描く、分からない言葉を伝える本人が絵や言葉で説明する。大人が内容と個人情報を確認する
中学生利用条件を満たす環境で、途中式の説明、英作文の修正理由、用語の確認問題を求める自分の答案と、理解できない場所を用意する教科書と照合し、画面を閉じて解き直す。判断できない点を先生に聞く
高校生条件と課題規定の範囲内で、論証への反論、解法の比較、出願書類の検討を行う主張・根拠・経験を自分で整理し、出願先の規定を読む採用した説明の根拠と修正理由を話し、資料と利用記録を残す

記録は、会話をすべて保護者が監視するためのものにしなくても構いません。文部科学省は、課題で生成AIの出力を使うときに、サービス名、入力した文、日付を明記させる例を挙げています(文部科学省, 2024)。家庭でも、これにならって、「自分の最初の答え」「採用した修正」「まだ分からないこと」を短く残す方法が考えられます。次に見返したとき、AIを開き直さずに説明できるかを確かめます。

保護者の声かけも、完成したページ数だけに向けないようにします。「今日はどこで考えが変わったか」「AIの説明で採用しなかったものはあるか」と聞くと、本人の判断を話題にできます。同じ質問を繰り返す場合も、未定着だけでなく、AIの説明が合っていない可能性があります。叱る材料にするより、どの支援に切り替えるかを一緒に考えます。

ルールの見直しは、使ったかどうかを責める話にしないことを提案します。自力で確かめる工程がなくなった、学校の課題との区別がつかない、正誤を確認できないときには、使う範囲を狭めます。教科書や先生の説明で十分に進められる課題なら、AIを使わず終えても構いません。学習の目的に合わせて道具を選ぶこと自体が、家庭で共有したい判断です。

この記事の限界

ここで扱ったAIの学習実験は、国外の高校や大学、限られた教科・課題で行われています。日本の小中高生全体の定期試験、受験の合格、長期的な思考力について、同じ効果を保証するものではありません。記憶に関する古典研究も、家庭でのAI利用を直接試したものではありません。年齢別の表や質問例は、これらの知見と公的指針を参考にした提案です。

論文のAIと、現在使える製品や学習用機能は、設計も利用環境も同じとは限りません。意欲、作文の質、知識、自力の試験成績は、互いに置き換えられない指標です。成績に差がなかった研究も、影響が完全にないことを証明したわけではありません。入試と利用規約は変更されるため、実際に使う時点の公式資料で確かめてください。

出典

塾の現場から見えること

なお、当サイトの運営者は、武蔵境駅北口で武蔵野個別指導塾を運営しています。講師1名に生徒1名で教える塾で、この記事は塾を運営する立場の者が書いています。塾の指導の考え方は武蔵野個別指導塾の公式サイトをご覧ください。編集方針は運営者情報に書いています。

この記事のまとめ

よくある質問

生成AIを使えば成績は上がりますか?

一律にはいえません。通常のチャット型AIで練習した生徒は、後のAIなしの試験の得点が低かったという高校数学の実験と、GPT-4を使った個別学習で授業直後のテストの伸びが大きかった大学物理の実験があります。どちらも2023年秋のGPT-4を使ったもので、対象、教材、評価時点が異なるため、自分の成績への保証にはできません(Bastani et al., 2025; Kestin et al., 2025)。

AIに聞く前に10分考えるべきですか?

固定の10分に効果があるとは確認できません。自分で試して止まった場所を特定し、前提が分からないなら例題や先生の説明に戻る方法を提案します。練習中のできと、後で残る学習は別だという整理があります(Soderstrom & Bjork, 2015)。

小学生にも使わせてよいですか?

学校の方針とサービスの年齢・同意条件を先に確認してください。文部科学省は小学生本人の直接利用をより慎重に判断するよう求めています。大人の操作する説明を一緒に確かめる方法もあります(文部科学省, 2024)。

志望理由書の推敲ならAIを使えますか?

出願先の規定によります。内容への本人の責任を条件に利用の有無を問わない大学もあれば、特段の指示がない限り使用を認めない大学もあります。学部・選抜区分・年度ごとの募集要項を確認してください(東京農工大学, 2024; 日本大学, 2026)。

AI検出ツールの結果だけで不正が分かりますか?

それだけで決めることはできません。英語が母語でない人の作文をAI製と誤判定したという短い論考がありますが、日本語や現在の全製品の精度を示すものではありません。出願先の規定を守り、下書きや修正理由も残してください(Liang et al., 2023)。