生成AIの使いどころ
トップ / 学習・受験でどう使うか

学習・受験でどう使うか

業務と違い、目的は成果物ではなく本人に残ること。効く使い方5つ、害になる使い方4つ、志望理由書とAIの扱いを整理しました。

学習や受験での使い方は、業務での使い方と条件が違います。理由は、目的が「成果物を作ること」ではなく「自分の中に残すこと」だからです。

この記事は、学習塾を運営している立場から書いています。その前提でお読みください。塾側の観点も含めて、武蔵野個別指導塾のサイトにも関連記事があります。

成果物と学力は別

業務では、成果物ができれば目的を達します。学習では違います。宿題が終わっても、本人に何も残っていなければ意味がありません。

この違いから、業務では効く使い方が学習では害になることがあります。

使い方業務学習
下書きを作らせる効く使い方による
答えを出させる効く害になりやすい
要約させて読む効く読む負荷が消える
反論を出させる効く効く
説明を求める効く効く

学習で効く使い方

  1. 分からない箇所の説明を、別の言い方で求める——参考書の説明が理解できないとき。ただし読んだ後に自分で解き直す。
  2. 自分の答案を評価させる——「この答案の弱点は」。添削者が常時いない環境では有効。
  3. 最も強い反論を出させる——小論文の再反論の練習になる。
  4. 覚えたことを説明して、間違いを指摘してもらう——説明できるかが定着の指標。
  5. 類題を作らせる——演習量を増やす目的なら機能する。

共通しているのは、自分が先に何かを出していることです。

学習で害になる使い方

2番目への対処は単純で、「10分考えてから聞く」と時間を決めることです。この10分が実際の学力を作ります。

志望理由書とAI

総合型選抜・学校推薦型選抜の志望理由書をAIで作ることについては、極端な意見が両側にあります。実務的には次のようになります。

使い方評価
丸ごと書かせる勧められない。原体験が空洞になり、深掘りに答えられない
調べ物の入口に使う有効。ただし出典は必ず自分で確認
問いを検討する相手にする有効。「この問いの弱点は」と聞く
構造を確認させる有効。構造ができた後なら
文章を整える有効。ただし中身がない状態で整えても増えない

実務上の理由がはっきりしています。面接では、書いた内容について重ねて聞かれます。自分で考えていない部分は、そこで止まります。

さらに、2027年度入試から総合型選抜で面接が必須化されるとされています(適用範囲は大学ごとに異なるため、必ず募集要項でご確認ください)。書類を作れることの価値は下がり、本人が語れることの価値が上がる方向です。

AIが解けることの意味

生成AIは、大学入試レベルの問題の多くに対応します。数学の難問、現代文、英語長文、法律系の論述。

ここから「その科目の勉強は不要」という議論が出ますが、逆の読み方のほうが有益だと考えています。

AIが処理できるということは、そこに再現可能な手順があるということ。センスではなく手順だから機械が扱える。ならば人間も学べる。

実際、AIに「なぜその選択肢を選んだのか、本文の根拠を示して」と問うと、手順が言語化されて出てきます。これは学習材料として使えます。ただし、自分で答えを出してから聞くこと。順序が逆だと、考える工程が消えます。

家庭で決めておくとよいルール

  1. 先に自分でやる——時間を決める。
  2. 答えではなく説明を求める——「答えは」ではなく「なぜそうなるか」。
  3. 制度・数値は一次資料で確認する——入試制度は毎年変わります。
  4. 提出物は自分の言葉で——説明できないものは出さない。
  5. 使った記録を残す——何度も同じことを聞いているなら、そこが定着していない箇所です。

禁止するより、使い方を決めるほうが現実的だと考えています。禁止しても使われますし、使い方を教えないほうが害が大きくなります。