使う前に決めておくルール
入力してよい情報の線引き、検証の担当、生成物を実物として使わない線引きなど、先に決めておく8項目とチェックリスト。
生成AIを使ううえで、先に決めておくと迷わなくなるルールを挙げます。個人でも組織でも、決めておくべき項目はおおむね共通しています。
1. 入力してよい情報の線引き
いちばん先に決めるべき項目です。
| 区分 | 扱い |
|---|---|
| 公開情報 | 制限なく使える |
| 社内の一般情報 | サービスの規約と社内規程を確認 |
| 顧客情報・個人情報 | 原則入力しない。必要なら匿名化と契約の確認 |
| 未公開の事業情報 | 入力前に判断を仰ぐ |
| 他社から預かった情報 | 秘密保持の条件を確認。原則入力しない |
| 認証情報・鍵 | 絶対に入力しない |
迷ったときの原則は「入力したものが外に出ても困らないか」です。困るなら入れない。
2. 出力を検証する担当を決める
「AIが出したから」は理由になりません。誰が確認したかを明確にする必要があります。
- 事実・数値・固有名詞は、必ず一次資料で確認する
- 確認した人の名前を残す
- 確認できなかった箇所は、その旨を明示して残す
3番目が実務的です。「確認できていない」という状態を、確認済みと区別して残すだけで、後の事故がかなり減ります。
3. 使ったことを隠さない
成果物にAIを使ったこと自体は、多くの場面で問題になりません。問題になるのは、隠していたことが後から分かる場合です。
開示が必要かどうかは文脈で変わります。次のような場合は、確認するか明示するほうが安全です。
- 学術・教育の場面(大学や学校の規程がある場合が多い)
- 公募・応募(応募要項に規定があることがある)
- 納品物(契約で定めがある場合)
- 報道・記録(事実性が問われる文脈)
4. 生成物を「実物」として使わない
これは倫理と法の両方に関わる線です。
- 生成画像を実写として提示しない
- 実在の人物の発言として書かせない
- 体験していない人の体験談を作らない——広告として問題になります
- 実在の団体名・ブランドを騙らない
- 存在しない実績・証明書を作らない
3番目は、口コミやレビューの文脈で特に注意が要ります。実際に利用していない人の感想として書かれたものは、作成手段がAIかどうかに関わらず問題になります。
5. 責任が伴う領域では判断させない
医療、法務、税務、投資、安全に関わる判断。これらは参考にはできても、判断の主体にはできません。
使うとすれば、次の範囲にとどめます。
- 用語の意味を知る
- 何を専門家に聞けばよいかを整理する
- 専門家の説明を理解するための下調べ
いずれも専門家に相談する前段階としての使い方です。
6. 学習では「先に自分でやる」
学習・受験で詳しく書きましたが、原則だけ再掲します。
時間を決めて自分で考えてから使う。答えではなく説明を求める。提出物は自分の言葉で。
7. 記録を残す
意外に効くのがこれです。何をどう聞いたかを残しておくと、次の2つが分かります。
- うまくいく聞き方——再利用できます。
- 繰り返し聞いていること——そこが自分の弱点です。
学習でも業務でも、同じ質問を何度もしているなら、そこを身につけるほうが速いという判断ができます。
8. 定期的に見直す
生成AIの性能と機能は短期間で変わります。したがってルール自体も固定できません。
- できなかったことが、できるようになっている場合がある
- 料金やプランの条件が変わることがある
- 規約(入力データの扱いなど)が変わることがある
- 所属先の規程が新設・改定されることがある
半年に一度は前提を確認するくらいの頻度が現実的です。
チェックリスト
- 入力してよい情報の線引きを決めたか
- 出力を誰が検証するか決めたか
- 事実・数値は一次資料で確認したか
- 生成物を実物として使っていないか
- 商用利用してよい条件か確認したか
- 学習では自分が先に出しているか
- 次に見直す日を決めたか